経営系大学教員の授業の小ネタ

とある大学で経営学を教えている大学教員が授業で話せそうな小ネタを集めておくブログ

ゲームアプリ市場で圧倒的にかえのきかない存在となっているGoogleとApple

 前回の記事で、経営戦略を考える上では自社のプレイヤーの数は少なく、取引相手のプレイヤーの数を出来る限り多くすることが経営戦略を考える上で非常に重要だということをお話しました。

(その記事はこちら)

managementclass-topping.hatenablog.com

 そこで、今回はゲームアプリという市場をもとにこのことを考えてみましょう。

 さて、みなさん、ゲーム事業での売上世界一はテンセントという中国の会社、2位は我らが日本のSONYなのですが、3位はどこかお判りでしょうか?

任天堂でしょうか?バンダイナムコでしょうか?それとも、FFやドラクエを擁するスクエニでしょうか?実はそのどれも違います。

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経営戦略論の概要:プレイヤーの数から考える交渉力(2)

前回の話をもう少し企業が直面している状況に寄せて考えてみましょう。

 

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企業Aはある商品を独占的に生産している企業であり、それを街に届けることができれば1億円の利益を獲得することができます。しかし、その街と企業Aとの間には川が流れており、橋を渡って商品を届ける必要があります。この時、橋の所有者が企業Aに対して通行料を要求する時、橋の所有者はいくらまで請求することができるでしょうか。別の言い方をすれば、1億円の利益を橋の所有者と企業Aは分け合うことになるのでしょうか。

 

少し考えてみましょう。

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経営戦略論の概要:プレイヤーの数から考える交渉力(1)

さて、突然ですがみなさんは交渉力と聞くとどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。

交渉力が強い人というと、押しが強くぐいぐい自分の主張をしてくる人というイメージを思い浮かべる人も多いでしょう。はたまた、押し自体は強くないけれど、論理的に相手のメリットと自分のメリットを議論しながら最終的に自分にとってよいように物事をすすめるといったスマートな人を思い浮かべる人もいるかもしれません。

しかし、そうした“交渉力“のある人の要求をきかなければならないのはなぜでしょうか。

 

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スイッチングコストを生じさせたPayPayの100億円キャッシュバックキャンペーン

一部のインターネット界隈で今大いに盛り上がっているのがPayPayというオンライン決済サービスである。このPayPayはソフトバンクが立ち上げたサービスで、2019年3月31日までPayPayで支払った金額の20%(場合によっては100%)のキャッシュバックを受け取ることができるというキャンペーンをぶち上げた。

これによって任天堂スイッチの転売ヤーが大量購入に踏み切ったり、普段値下げをしないApple社製品ユーザーやsurfaceが欲しい人たちにとっては非常にお買い得に購入できるということで浮足立っている人が多数いるようだ。

そんな中、スイッチングコストの説明に使えそうな記事を見つけたので自分への備忘録がてら紹介しておく。

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販売促進の効果の説明で使えるGoogleでのAKBの検索数

データで示すことが難しい販売促進のデメリット

マーケティングのPromotionで販売促進の説明をする際に、いつも困っていたのが「販売促進の効果は一時的なものになりやすい」というデメリットの説明である。

 

が、しかし。最近はまっているGoogleトレンドというサービスを使えば、それが簡単にデータで示せてしまうことにも気が付いた。このGoogleトレンドは、ある特定の言葉がgoogleを使ってどれだけ検索されたのかを時系列で示してくれるというサービスである。つまり、Googleトレンドを用いれば、消費者全体の関心度を間接的に測定することができる。

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AIDMAモデルの説明でつかえるル・クルーゼのマーケティング戦略

AIDMAボトルネックを突破するル・クルーゼマーケティング戦略

プレート・ロンドの価格は税別5000円。同社の主力商品であるホーロー鍋「ココット・ロンド」(2万~4万円)に比べると4分の1以下。関心はあるものの、手を出しにくいと感じている若い女性を取り込む。(『日経MJ』2017年6月26日、5ページ)

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価格差別の事例で使えるamazonの低所得者向け会員料金の引き下げ

低所得者もターゲットとして定めたamazon

シリコンバレー=中西豊紀】ネット通販大手の米アマゾン・ドット・コムは6日、無料の翌々日配送など「プライム」サービスの米国での会費について、低所得者層は約半額の月5.99ドル(約650円)に引き下げると発表した。米政府が支給する食料配給券(フードスタンプ)などの受領者が対象。低所得層の顧客が多い小売り最大手の米ウォルマート・ストアーズに対抗する。(出典:米アマゾン「プライム」会費、低所得層は半額に (写真=AP) :日本経済新聞

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