経営系大学教員の授業の小ネタ

とある大学で経営学を教えている大学教員が授業で話せそうな小ネタを集めておくブログ

AIDMAモデルの説明で使えるNUROのPROMOTION


AIDMAモデルの説明で使えるNUROのPROMOTION

ソニーネットワークコミュニケーションズが光回線インターネット「NURO」の動画マーケティングで大きな成果をあげている。同社の動画広告の特徴はわずか6秒という短さ。インパクト重視の動画広告でブランドの刷り込みを行った。動画広告を起点にウェブサイトに集客したことで2016年度のウェブサイト経由の申込者数は前年度比で2倍になった。NUROは関東圏限定で展開する、高速光回線インターネットプロバイダーサービス。後発で知名度が低いゆえ、機能性をうたっても見向きもされない。まずはインパクト重視で広告をみてもらい、サービスの詳細は誘導先でしっかりと伝える(「日経デジタルマーケティング 成功のヒント インパクト重視 6秒動画」、日経MJ2017年6月7日、7ページ)

 
この記事からわかることはソニーがNUROという高速光回線インタネットプロバイダーサービスのPROMOTIONを考える際に、しっかりとAIDMAモデルに基づいて考える事ができている、ということ。
消費者にとってNUROの知名度が低い、ということは消費者がAttentionの前段階で止まってしまっている、ということになる。そのため、PromotionではそのAttentionを突破していくことを考える必要がある。そのために、インパクト重視のCMを作り、そこで存在を知ってもらった上に関心を抱いてくれた消費者には、欲望を突破するために誘導先ではサービスの詳細を伝える、という二段構えになっている。

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原油価格と新規参入の脅威、操業停止点と損益分岐点

シェール増産が原油上値抑制、当面40~60ドルで推移の公算

OPEC石油輸出国機構)加盟14カ国と非OPEC産油国10カ国は、5月25日において開催された合同閣僚会合において、日量180万バレルの現行協調減産を7月以降2018年3月まで9か月延長することを決めた。(中略)しかし、一方で米国のシェールオイルの増産が需給緩和要因として意識される。現在のように原油相場が50ドル/バレル前後で推移する状況下でも、増産の勢いは強まり、結局上値は抑えられやすい。原油相場はかなりの長期間にわたって40~60ドル/バレルのレンジ内にとどまりそうな状況である(『週刊ダイヤモンド』2017年6月10日、24ページ)

 この記事だけだと少し分かりにくいが、現在、既存の原油産出国(既存企業)が、シェール革命によって原油とほぼ同じ成分でとれる地層が異なるだけのシェールオイルを産油できるようになったアメリカ(新規参入)に脅かされることによって、原油価格を協調してあげていくことが困難になっていることを意味している。

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おやつのカール(『日経MJ』2017年5月29日、15ページ)

明治「カール」、東日本で販売終了へ

スナック菓子の販路は出店拡大の続くコンビニエンスストアの比重が高まる。ただ、コンビニ大手4社のうち、セブンイレブンなど3社はカールの販売を打ち切っている。唯一扱いのあるファミリーマートでも一部店舗のみにとどまる。

スーパーと異なり、売り場が限られるコンビニでは棚の争奪戦が激烈だ。コンビニの担当者は「小さいカップ入りのスナック菓子が売れる傾向が強まり、カールは自然と売れ筋から外れた」

日経MJ』2017年5月29日、15ページより引用)

(この事例はロングテールの話をする際に利用できるかもしれない。ただ、来年以降は学生にもなじみがなくなっていてもう使えないかもしれないが…

【講義での話し方案】

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富士そば(2017年5月22日『日経MJ』3ページ)

富士そばのSTPとProduct、Place

富士そばターゲットセグメントが多忙なサラリーマンで、Productの性質が最寄品に近いものであり、Placeもそれに合わせていることが分かる。

ー創業以来から出店条件は変化していますか

「変わりません。黒色の人通り、すなわちサラリーマンが多い場所。赤い色(女性が好む明るい服の色)のお姉さんよりいいんだわ。道は広すぎてもダメで幅は6メートルくらい。そして、駅のそばで角地で間口が広いところ。食べたいという衝動が変わらないうちに入れるようにと考えています。」(2017年5月22日『日経MJ』3ページより引用)

ターゲットセグメントとProductとのフィットの重要性

また、同インタビューではターゲットセグメントからぶれたProductを出すと売れないということも分かる。

「そば屋には野菜がないでしょ。何とか野菜を売りたくて100円のゆで野菜のセットを売るよう言いました。ふたを開けてみると売れる店と売れない店に分かれて、今はほとんどない。理由を聞いたら、『会長、全然売れないんですわ』と言われて(笑)やはり健康より味なんだね。』(2017年5月22日『日経MJ』3ページより引用)

この部分からは富士そばのメインターゲットとなっているサラリーマンにとって「安くて早くてそこそこうまい」というサービスが重要なのであって、「ヘルシー」というサービスの提供を求めておらず、それによって失敗してしまったことが分かる。

Priceと富士そばの競合について

Priceについては500円程度であることやライバル店として想定している企業も次の記事内容から分かる。おそらくコスト意識の高いサラリーマンに合わせた金額であろう。

ーファーストフードは行きますか。

「500円払ってうちの商品とどれぐらいの差があるかを見るために食べます。吉野家リンガーハットケンタッキーフライドチキンなど行きますよ。最近ではケンタッキーが一番いいかな」(2017年5月22日『日経MJ』3ページより引用)

Promotionに関する記述がなかったため、富士そばの会長である丹氏はPromotionについては重視していないのかもしれない。富士そばのProductが最寄品だと仮定すれば、食べたいと思った時にすぐそばにあることが重要であるため、普段から認知度を高めるなどする必要はないということかもしれない。