経営系大学教員の授業の小ネタ

とある大学で経営学を教えている大学教員が授業で話せそうな小ネタを集めておくブログ

AIDMAモデルの説明で使えるNUROのPROMOTION


AIDMAモデルの説明で使えるNUROのPROMOTION

ソニーネットワークコミュニケーションズが光回線インターネット「NURO」の動画マーケティングで大きな成果をあげている。同社の動画広告の特徴はわずか6秒という短さ。インパクト重視の動画広告でブランドの刷り込みを行った。動画広告を起点にウェブサイトに集客したことで2016年度のウェブサイト経由の申込者数は前年度比で2倍になった。NUROは関東圏限定で展開する、高速光回線インターネットプロバイダーサービス。後発で知名度が低いゆえ、機能性をうたっても見向きもされない。まずはインパクト重視で広告をみてもらい、サービスの詳細は誘導先でしっかりと伝える(「日経デジタルマーケティング 成功のヒント インパクト重視 6秒動画」、日経MJ2017年6月7日、7ページ)

 
この記事からわかることはソニーがNUROという高速光回線インタネットプロバイダーサービスのPROMOTIONを考える際に、しっかりとAIDMAモデルに基づいて考える事ができている、ということ。
消費者にとってNUROの知名度が低い、ということは消費者がAttentionの前段階で止まってしまっている、ということになる。そのため、PromotionではそのAttentionを突破していくことを考える必要がある。そのために、インパクト重視のCMを作り、そこで存在を知ってもらった上に関心を抱いてくれた消費者には、欲望を突破するために誘導先ではサービスの詳細を伝える、という二段構えになっている。

 

講義でのAIDMAモデルの説明(例)

f:id:sanvermto:20170627082632p:plain

AIDMAモデルというのは、私達消費者が製品・サービスを購入する際までにほとんど無意識にたどる思考・行動の流れのこと。もう少し具体的に言うと、消費者は商品を買うまでに、その商品の存在を知って(Attention)、関心・興味をもって(Interest)、そのあと、「欲しい!」という欲望を持って、その気持ちを記憶(Memory)したままお店に行って、買うという行動(Action)をする、という流れがある、というのがAIDMAモデルなんだよ。

 

どういうことかというとね。僕達消費者は、そもそもその製品・サービスの存在すら知らないものは買うことができないよね?だから、まずは消費者に自分たちの製品やサービスの存在について知ってもらう(Attention)というのが必要になるよね。

 

でも、僕達が知ってる商品を買うかというとそうじゃないよね。僕はワンピースっていう漫画が人気あるのは知ってるけど、そのマンガを買ったことはないし、ちょっと最近僕はお腹が出てきたのが気になっていて、ライザップというのがその悩みを解消してくれそうだと思っているけど、残念ながら僕はライザップには通ってない。こんな風に消費者に製品・サービスを知ってもらうというのは必要だけど、それだけではダメだよね。


じゃあ、何が必要になるかというと、色々知っている商品の中から、「お、なんか良さそうなものがあるな」と関心(Interest)を抱いてもらわないと消費者は買ってはくれない。


でもさ、やっぱり、「いいな」と思っている商品を全部買っちゃうかというとそうじゃないよね。君たちだって「あの人っていいよね」と思っている人全員を彼女にしたいとか、彼氏にしたいとか思ってるわけじゃないよね。その中から、「彼女にしたい!」とか「彼氏にしたい!」とか思うのは一握りの人たちでしょ?だから、「いいな」と思った商品を「ほしい!」という欲望(Desire)を持ってもらうという次のステップに進んでもらう必要がある。

「あの商品をほしい!」と思ってもらえれば買ってくれるかと思うかもしれない。けど、かならずしもそういうわけじゃないよね。さっきの「彼氏にしたい!」とか「彼女にしたい!」という例でいえばさ、そう思った人全員に告白するかといえばそんなことないでしょ。ある時は「あの人と付き合いたいな」と思ってたけど、いつの間にかその気持ちがなくなってたとか、他の人に目移りしてしまったとかあるじゃない。それはビジネスでも一緒なんだよ。


「あの商品をほしい!」と思っていても、その欲望を忘れちゃって、お店にいった時に結局他の商品を買ってしまう、ということが起きたりする。もしくは、そもそもその気持が一瞬で終わってしまって、寝て起きたら忘れてるということもある。

なので、その「ほしい!」という気持ちをしっかりと覚えておいてもらわないと買ってくれない(Memory)。それで、最後にその気持を覚えておいたまま、お店に行って、買うという行動(Action)を消費者はやっととってくれる。

こんな風に、消費者は商品を買うまでに、その商品の存在を知って(Attention)、関心・興味をもって(Interest)、そのあと、「欲しい!」という欲望を持って、その気持ちを記憶(Memory)したままお店に行って、買うという行動(Action)をする、という流れがある、というのがAIDMAモデルなんだよ。

それで、このAIDMAモデルで重要なポイントは、消費者がAIDMAのどこで止まってしまってるかを考えて、その止まってるポイントに働きかけていくということが重要になる、ということ。

例えばさ、誰も知らないような商品なのに、一生懸命その商品の内容を説明して「欲しい!」と思ってもらうように頑張ったってさ、そもそもその商品を知ってる人が少ないんだから買ってくれる人も当然少なくなっちゃうよね?だから、知名度がないときは商品の内容は二の次にして、まずは知名度を高めるということを考える必要がある。これをうまくやって成功してるのが「NURO」という高速光回線のインタネットプロバイダー(記事を配っておいて、上の説明をする)。

逆にさ、世の中の人はその商品のことみんな知ってるし、みんな「いいな」と思っていて、さらに「欲しい!」とさえ思ってくれていて、その気持ちを忘れずにお店にまで行ってくれる。でも、お店のわかりにくい所に置いてあったり、そもそもお店に並んでなかったりすると、お客さんは買うっていうActionがとれない。こんな時に、「なんで売れないんだ。」と考えて、CMなんかで商品のアピールをしてもムダだよね。だってみんなもうその商品の良さはわかってるんだもん。そんな時は、お店の目につく所に商品を置いてもらうように小売店を説得したり、生産体制・物流体制をしっかりと整えて、いろいろなお店にその商品が並ぶように工夫しなくちゃダメだよね。

こんな風にターゲットの多くがAIDMAのどの部分で止まってるかによって力を入れないといけないポイントが違ってくるから、しっかりと消費者の調査をして、AIDMAのどの部分でお客さんが止まっているのか考えないといけないよ。